大阪高裁「高浜原発3・4号 差し止め」取り消し


3月28日、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は関西電力高浜原発3・4号機運転差止め仮処分に関して、「新規制基準は不合理ではなく、原発の安全性が欠如しているとは言えない」として地裁の判断を取り消す決定を出した。決定は即座に効力を持つため、再稼働が法的に可能になった。

脱原発弁護団全国連絡会のホームページ↓に3月28日の「 滋賀訴訟申立人団・弁護団声明」「決定要旨、決定文」が掲載されている。
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/17-03-28/

なおこの訴訟は、福井に隣接する滋賀県の住民26人が原告となり、関電を相手取って提起されたものである。若狭の原発群でもし事故が起これば、滋賀県でも豊かな自然を失うばかりか、近畿圏1400万人の命の源である琵琶湖を放射能で汚すことになる、福島第一原発事故のような事態を若狭湾沿岸で起こさせてはならない、という思いからだ。

高浜原発3、4号機については、二転三転の司法経緯があるので、再度確認したい。
2015年2月に国の新規制基準に合格。同年4月、福井地裁(樋口英明裁判長)で、運転差し止め仮処分決定が出された。が、同12月の同地裁での異議審(林潤裁判長)では一転、再稼働を認めた。決定を受けて16年1月から3号機、4号機は相次いで再稼働した(4号機は直後にトラブルで緊急停止)が、16年3月、こんどは大津地裁(山本善彦裁判長)の運転禁止仮処分で再び運転が差し止められた(稼働中の原発の停止を命じるものとしては初めて)。7月の異議審でも勝訴。これに対し関電は7月、仮処分決定を取り消すよう大阪高裁に保全抗告を申し立てた。そこで今回の大阪高裁の決定となった。

従来の原発訴訟は住民側の連戦連敗(例外が2つ⇒もんじゅ設置許可を無効とした名古屋高裁金沢支部判決2003年と志賀原発運転差し止めを命じた金沢地裁06年、いずれも上級審で住民側敗訴)だったが、福島第1原発事故後は福井地裁、大津地裁などにみられるとおり変化の兆しが現れている。行政の安全審査の追認に終始してきたこれまでの司法の在り方から、原発の危険性の本質とそのもたらす被害の大きさを審査していく方向へ変わってきている。…ように感じていた。
また先日17日には、避難者集団訴訟で前橋地裁(原道子裁判長)が国と東電の責任を認める判決を下したばかりである。「津波は予見できたのに、東電は経済合理性を優先して対策を怠った。国は対策を命じるべきだった」とし、とくに国の法的責任を示した判決は画期的といえる。
福島事故後、司法の場で誠実に対応し始めた裁判官は、例外的ではなく何人もいるということだ。

ただ、今回の大阪高裁や福井地裁が正反対の判断をしたように、司法の対応はまだ分かれている。
それは弁護団の声明文に断じられているとおりである。
「地震、津波、使用済み燃料ピット、避難計画など、我々が提起した数多くの問題についても、ほぼ関西電力の主張を沿う判断に終始した。福島第一原発事故後に原発の運転を容認したいくつかの司法判断に共通する「思考停止」「行政追随」一色の判断内容であり、法と良心に従い公正な判断を下すという司法の果たすべき役割を放棄するにも等しいその態度に怒りの念を禁じ得ない。」「大阪高裁は、新規制基準を「安全性の基準」と呼び、新規制基準に適合していればそれでよく、新規制基準が要求しない対策は一切講じる必要がないとしている。福島第一原発事故以前の司法の姿そのものであり、福島第一原発事故を踏まえた新たな判断枠組みを打ち立てようとする姿勢は全く見受けられない。」

福島原発事故は取り返しのきかない元にはもどれないリスクを子どもや住民に強いている。福島原発事故は、何も解決していないし、出来ない。私たちは子や孫まで被ばくを強要されている。各地で行われている裁判を注視し、再稼働は許さない運動をさらに進めて行きたい。

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